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ネパール通信12-2-14-2

今回の滞在は 絵本翻訳に費やした時間が多くなりました。
学校から離れて 母語がネワール語社会の中で 正当なネパール語を聞く機会は激減している(ネワール語の発音は日本語に近く、ネパール語では4種類あるタ、ダも2種類しかなく、ネワールの人たちはこれらの発音を区別できません)暮らしを続けてきましたが、こちらに居る分だけ 昔習った語彙が自然に定着していたようで、今回の作業は 学校の課題(翻訳の授業もありました)に取り組んでいた時よりもずっと迅速に楽しんで進めることができました。
こちらで50年近くも少数民族カリンの言葉を研究して来られた言語学者の鳥羽先生でさえ「ネパール語で自分が書いたものをチェックしてもらわずに外に出すことはできない」とおっしゃるぐらいですから、私の訳したもので分かってもらえる自信など毛頭なく チェックしてくれる人が必要です。
これまでは 出版物を作った時は別として、下宿のネワール語教師であるご主人にお願いしていましたが、既に報告した「ももたろう」の訳をみていただいた後、ご自身の仕事関係で一時、時間を割いていただくのがむつかしくなっていました。
できればネパール語母語の人にみてもらいたいと思っていたのが叶って、TUの日本人後輩が19歳のスニタを紹介してくれました。
下宿の周りにTUキャンパス(私が学んだ課程以外は大学院レベルのみがあります)で勉強しているネパール語母語の学生たちは大勢いますが、誇り高い彼らは 自分の勉強にならない、英語も満足にしゃべれない外国人と親しむ意思など持ち合わせず、彼らの技量を分けてもらいたいと頼めば どれくらいの金額を要求されるかは ほぼ検討がついて そんな金額を出して 卑屈になって教えてもらおうとは考えませんでした。
スニタは最上のブラーマンカーストですが、パタンの八百屋の娘だそうで ソーシャルワーカーになる勉強をしている学生です。
私立学校キャンパスで学んでいる彼女は 裕福な学友たちの中でいつも金欠病状態らしく どんな仕事でもお金がほしい が本音で、紹介されました。
実は 今の都市の子どもの典型で 彼女はきちんとしたネパール語をしゃべりますが、書く能力は私以下です。
とんでもない綴りをして 私をびっくりさせますし、文法の知識もあやふやで「学校ではそう習わなかった」と私が言って、言い争いになることもあります。(まだ文語が半生状態で残っていて、学校ではそれが教えられますが、口語では既に死語状態。)
英語は奨学金をもらえるレベルと聞きましたが、一番不得意なネパール語で稼ごうというのですから、報酬が少ないのは仕方ないですね。(私の方は大助かりです。)
私は 彼女が教えてくれた初見の単語はすべてネ-ネ辞書できちんと確認してから清書します。
でも 彼女には ブラーマンカーストの人に特有の奢りも感じられずに(紹介してくれた人はその下のチェトリカーストと思い込んでいたそうです) 親しみやすい子で 若いというだけで一緒にいると元気をもらったような気分になります。
その彼女にみてもらって、4冊の 世界にただ1冊のネパール語も書かれている絵本 が出来上がりました。
「いっすんぼうし」と「かちかちやま」の2冊は 再びブンガマティの学校に持って行きました。
「おおきなかぶ」と「あひるのたまご」は これまでも来る度に行っていた 近所の保育園(シスケンドラ)に持って行きました。
私は なるべく新しいものを持ち込まないように心がけていて、シスケンドラで本の類を見たことはなかったのですが、先日 前回の滞在時に撮った写真を届けた時に JAICAからもらったというペラペラの日本語絵本黒白コピー(ネパール語訳も添えてありました)を見せられました。
「色を塗りたいからクレヨンを日本から持ってきてくれ」とせがまれて(こちらでもクレヨン買えるんですが・・・)、持ってきたもののあまり出番がなかった色鉛筆をあげていました。
だから 2冊のほんものの絵本は しばらくは こどもたちにも ミス(女先生)にも宝物になることでしょう。
数日前に講習会の帰りに寄ってくれた さなえさん(1/4に任期終了で帰準備中と言っていました)に 保育園に贈呈する2冊を見せたら 「この両方ともこどもの頃ほんとうに大好きだった!」と懐かしんでいましたし・・・
私自身 翻訳しながら もう忘れかけていたストーリー、選び抜かれた日本語と作家による絵(どの絵本も福音館のものです)を十二分に楽しみ いい時間を過ごしました。
今回の作業は終わりにしましたが、「次回の滞在時にも続けるからよろしくね」とスニタに伝えてあります。
 
写真 ブンガマティの学校では盲児に読み聞かせ、耳の聞こえない子に先生が手話でストーリーを伝えていました。
    お茶の時間に校長先生が読み聞かせるのに皆熱心に注目していました。

12/10 キルティプルから 

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